相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付した相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。この制度は、贈与者ごとに選択できますが、一度選択するとその選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべての制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
2025.12
物納制度に係る物納許可限度額の算定に必要となる延納制度の延納年数は相続財産の性質に応じて規定されているが、従来の計算では一律に最長の延納年数が用いられ、動産等のより短い延納年数は考慮されていませんでした。また相続人等の半数が60歳以上となるなど、いわゆる「老老相続」が進む昨今、余命年数を超えて延納による納付額が計算される可能性もありました。本通達改正では物納許可限度額の計算上の延納期間に係る年数について、従来の取り扱いに加え不動産と動産等が混在する場合は各区分の最長年数に、その財産の価額の合計額が相続財産の価額に占める割合を乗じた年数(1年未満は切り捨て)を合計した年数、又は厚生労働省が公表する完全生命表に掲げる平均余命年数(1年未満切り捨て)のいずれか短い年数とされました。その他、納期限後に計算上の延納期間内に収入金額の減少が確実な場合の計算方法の新設等も行われました。これらの改正は、令和7年4月1日以後に開始する相続に係る相続税及び令和7年6月24日以後に申請期限が到来する贈与税に係る延納申請書について適用されます。
2025.11
名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を出した人が違う預金のことです。よくあるケースとしては、孫や子のために祖父母が預金していたり、収入のないはずの専業主婦が夫の給料を自分名義の口座で管理していたりといったことが挙げられます。相続の時に亡くなった人(被相続人)の財産が相続税の対象になります。そこで他人の名義を借りただけの名義預金とみなされてしまったら、実質的には被相続人の財産であるとして、相続税の対象になってくるのです。この名義預金は、名義の名前と本当の持ち主が違うことから被相続人の財産から漏れやすくなります。税務調査の対象になりやすいので、注意が必要です。
2025.6
相続放棄ができる期間は、相続権があると知った日から3か月以内であると民法で定められています。相続放棄を申請する場合は、亡くなった方の住民票の届けがあるエリアを管轄する家庭裁判所で相続放棄の申述を行う必要があります。固定資産税については、1月1日が賦課基準となるため、相続放棄の申請が年を跨いでしまうと相続放棄しても、固定資産税を払わなくてはいけないので注意が必要です。
2024.12
相続時精算課税を選択した受贈者が、特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年贈与の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されます。また、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した残額とされます。
2024.11
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続により不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。遺産分割が成立した場合には、これにより不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となります。また、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。
2024.10
後継者が贈与により取得した株式等(ただし、議決権を行使することができない株式を除く)に係る贈与税の100%が猶予されます。本制度の適用を受けるためには、経営承継円滑法に基づく都道府県知事の認定を受け、報告期間中は代表者として経営を行う等の要件を満たす必要があり、その後は、後継者が対象株式等を継続保有すること等が求められます。また、後継者が死亡した等の一定の場合には、猶予された贈与税が免除されます。
2024.9
〇無効となる危険性の有無
自筆証書遺言書は内容が簡単な場合はともかく、そうでない場合には法律的に見て不備な内容になってしまう危険性があり、後に紛争の種を残したり、無効になってしまったりする場合もあります。しかも自筆証書遺言は、誤りを訂正した場合には遺言者がその訂正した箇所を指示し、これを訂正した旨を付記してそこにも署名し、かつその訂正した箇所に押印をしなければならないなど、方式が厳格なので方式不備で無効になってしまう危険もつきまといます(民法968条)
これに対し公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が関与するので、複雑な内容であっても法律的にきちんと整理した内容の遺言にしますし、もとより方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。また公正証書遺言は、遺言をその場で訂正する場合でも、公証人が責任をもって訂正手続きを行うので安心です。 2024.8
相続税財産の申告で、被相続人が生前に贈与した財産の相続財産への加算が漏れていることを税務署が把握した場合、納税者である相続人に対して書面等で修正申告を促します。加算漏れにより修正申告を促すことは、これまで調査として対応されていたため、納税者が修正申告に応じても過少申告加算税が課されていました。しかし、大口・悪質事案に調査の事務作業量をかけるため、加算漏れが見込まれる相続人等には行政指導として自発的な見通しを要請する位置づけ変更しました。行政指導により納税者が修正申告をした場合は、過少申告加算税は課されません。
生前の贈与につき贈与税の申告をしている場合は、税務署が相続財産への加算漏れを把握できますが、相続税の実地の調査等において、これまで贈与の申告が行われていなかった財産を把握することがあります。調査によって加算対象となる贈与の相続財産への加算漏れが把握された場合は、過少申告加算税等の対象となります。なお、過少申告加算税の対象にならなくても、延滞税が課されることはあります。 2024.7